資料集8


  立命館大学が直面する8つの課題(草案)
                     (これこそが再生案のモデルである)
                                    経済学部教員有志

   立命館大学が直面する8つの課題(草案)  2008年8月8日
               経済学部教員有志(代表:内山 昭・田中 宏)
                                      
 立命館大学は多くの課題をかかえています。個々の問題に有効に対処
し、解決を図るためには問題の全体像を把握すること、学園が抱える諸問題を中長期的視野に位置づけることが必要です。

 立命館憲章が掲げる「自主、民主、公正、公開、非暴力の原則」に立脚すると、私たちが直面する課題は次の8点に整理することができます。

1.<トップの引責辞任>
 特別転籍の実施、理事長・総長の退任慰労金の倍増による社会的信用の失墜、国からの経常費補助金の15億円カット処分(行政処分)は歴史的な汚点である。特に巨額の経常補助金カット処分は法令違反や社会的不正によるものであり、そうでなければ基準に従って補助金は私立大学に交付され、大学は受け取る権利を持っている。学園トップはこれらに対する重大な責任を自覚し、引責辞任することを求める。

2.<学長と学部長理事中心の大学運営>
 理事会(経営当局)は教育・研究に直接責任を持つ教職員主体の大学運営、教職員の自発性を引き出す大学運営に努める。実際の運営は学長(総長)、学部長理事を中心とし、常務会を廃止する(または単なる連絡機関とする)。大学協議会を一層実質化する。学部長会議を常設機関として制度化する。

 総長選出について全構成員の総意を反映できるよう総長選挙規定を改正する。理事長の選出方法を改善し、リコール規定を導入する。非常勤または非正規の教職員の役割を正当に位置づけ、大学運営に参加する場、機関を設置する。

 経営は目立たず、縁の下の力持ちに徹する。すなわち「教育・研究を経営の手段」とするのではなく、「経営は教育・研究の手段」「縁の下の力持ち」として、「落ち着いて教育・研究のできる環境条件」を整備する。(就業規則・懲戒手続規定の変更、裁量労働制、監事監査、内部監査、通報システムなど、以上に対する再検討が必要)

3. <じっくり、丁寧に教育する>
 学生が「洞察力のあるたしかな学力」を身につけ、「自立と連帯の大切さ」を学べるよう、「じっくり、丁寧に」教育できるシステム、条件を創造する。(たとえば、小集団教育に関して適正規模は人文社会系の場合15名以下、を実現する。)

 大学の民主的運営は「丁寧な教育」のために不可欠である。教育・研究の創造的展開は各学科、各学部・各研究科を基本単位とし、そのうえで学部間・各部局・各研究所との連携を構築する。教育・研究は適正な単位によってのみ、創意工夫が可能となり、成果をあげることができる。

4.<学生の自治能力の育成>
 学生は自治活動を行う能力の形成途上にある。この能力の形成を停止するのではなく、支援することが大学の役割である。会計の適正処理は自治能力の重要な要素である。この重要性に鑑み、学友会費(自治会費)の代理徴収の廃止は、猶予期間(1年)内に会計処理の適正化がなされたか否かを判断したうえで結論を出すことを求める。

5.<一時金カットの撤回と長期雇用への転換>
 教職員が安心して教育・研究に取り組めるよう、また根拠の薄弱な2005年以来の一時金カットをただちに撤回する。教職員の採用は原則として正規採用・パーマネントとする。教員と職員の分担協力関係(教職協同)を豊富化する。

6.<歴史的役割を終えた拡張主義からの転換>
 「株式会社」と揶揄される過度の経営主義、膨張主義はその歴史的役割を終えた。今や本学は質向上に方針を転換する時であり、着実かつ地道な教育・研究成果のあがる学部、大学院・大学作りに向けた政策を創造し、展開する。
(スポーツ健康科学部の新設問題、初芝学園問題、市立岐阜商業高校問題については、全学合意ができるまで拙速を避けよ)

 基本路線を転換すべき新しい時代にあって、大学のリーダーは理念を語れ!総長(学長)、理事長、常任理事、学部長は実務者の役割にとどまることなく、大学の指導者、知識人として品位(豊かな知性)を持ち、学生、教職員、社会に対して大学、教育・研究のあり方、人類の現在と未来についての理念、思想を語れ。

7.<理事会と教職員の信頼関係の回復>
 大学本部(朱雀)への権限集中、および管理統制の強化ではなく、ボトムアップの運営を徹底する。経営当局や管理者は教育・研究現場の教職員の声にしっかり耳を傾け、意見、要望を最大限尊重する。教育・研究に関わる全構成員の自治を再建し、実質化、活性化するとともに、各教授会、全学の各機関、非正規、非常勤の教職員を含む大学の構成員、組合、生協は実り豊かな協力と真摯な相互批判に努める。就業規則、懲戒手続規定、裁量労働制、監事監査、内部監査、通報システムなどのあり方は、理事会と教職員の信頼関係を回復する方向に沿ったものとする。

8.<財政分権への着手>
 学費の負担者である学生・保護者に説明責任を果たせるよう、学費・国からの経常補助金は大学の拡張・投資資金にあてるのではなく、教育・研究経費に充てることを明確にする。学園の財政は2つの大学、付属の中学高校、小学校ごとに収支会計を作成すること。学生への還元を明確にし、教育・研究上の創意工夫を最大限発揮できるよう財政分権に着手する。当面、授業料の10%相当額を学部自由裁量経費とし、厳格な会計監査を行う。また各研究所の予算執行における裁量度を高める。

 これを読めば鈴木元氏の再生案が、如何に一面的かが分かる。鈴木元氏の再生案は立命館大学の新校舎を茨木に建設するか京都に建設するかだけである。(そこには利権のにおいがする。)