資料集2



             しんぶん赤旗)                                                             2008年7月28日(火)
 立命館大学はいま   教学優先へ大学人の取り組み
立命館大学では七月十五日に京都市内で、「立命館の危機を克服し、新たな学園創造をめざす大集会」が開かれました。約五百人の学生をはじめ、教職員、卒業生、市民など七百五十二人が参加し、活発な意見交換が行われました。
 この間、「拡大路線のひずみ噴出」(「読売」六月二十一日付)、「改革再生へ正念場」(「毎日」同二十九日付)、「『学生軽視』背景に」(「京都」同二十一日付)など、立命館大学で生起した諸問題がいま社会的に大きな注目を集めています。
 この直接のきっかけは、「特別転籍」問題です。
 学校法人立命館は、入学手続者が定員の一・四倍を超えた生命科学部で、新入生に他学部への「特別転籍」を募りました。これについて、文部科学省から、「教育上の合理的な理由があったと判断できず」と指摘され、私立大学等経常費補助金を25%(約十五億円)減額される重い処分を受けました。
学生軽視に批判
 この問題をめぐり、文学部、産業社会学部、国際関係学部、映像学部の各学生自治会が、学生大会などで「特別決議」を採択し、「学生を軽視し経営主義の判断をしたことは立命館学園の社会的信頼を失墜させた」(文学部自治会)、「経営優先の運営をしてきた理事会は大きく方向転換を」(国際関係学部自治会)と指摘し、学園指導部の「退陣」を要求するに至っています。また、多くの学部教授会で同趣旨の「教員団決議・声明」が採択されています。
 同時に、大学が学友会費の「代理徴収」の廃止を突然提案したことへの怒りも、「大集会」に五百人の学生が参加する背景となっています。集会では、多くの学生がこの問題で次々に発言。とくに「代理徴収」を廃止し、大学の予算枠で学生の自主活動を支援する新たな制度を設けるとの提案に対し、「学生は大学の顧客ではない。自治の担い手」「自治への介入は許されない」などの訴えが相次ぎ、学園の自治と自主活動をめぐる学生のエネルギーの大きさが示されました。
 さらに、今回の「特別転籍」のほかにも、全教職員に対する突然の一時金一カ月カット(〇五年)、総長選挙規定の改定(〇六年)、学生には耐え難い高学費を押しつけておいて前理事長・前総長には「退任慰労金」の倍増による総額一億六千万円の支給(〇七年)をするという、一連の問題があります。
 「学生や教学を軽視して、経営主義と拡張路線をすすむやり方でいいのか」「これ以上立命館の民主主義を掘り崩してもいいのか」「学園指導部の『専断』的なやり方はもう限界。民主的な学園創造と運営の新しい体制を」との声が公然とあがり、学園運営の抜本改善を求める学内世論が広がっています。
 こうした声と学内世論を受けて、十五日の「大集会」の「宣言」は、「〇五年以来の専断的ガバナンスと学園指導部の運営能力の欠如」「退任慰労金などで明らかになったモラル・ハザード」などと指摘。立命館大学の「危機」を克服し、新たな学園創造に向かうには、「学部長理事を中心とした教学重視の立場に立つ常任理事会を再構築していく以外に道はない」と呼びかけました。
大学自治の意義
 立命館大学は、戦後いち早く「学内理事会制」を確立し、学部長を全員理事として、大学の運営に関しては「学内理事会」にまかせることを理事会の合意(一九五一年二月)としました。また、大学運営の基本問題については理事会だけで決めるのではなく、大学の自治の担い手として教職員や学生を認め、おのおのの階層の代表として学生自治会、教職員組合が参加する「全学協議会」体制を確立しました。(一九四八年九月)
 「立命館憲章」では、学園の運営にあたり、立命館は「自主、民主、公正、公開、非暴力の原則をつらぬき、教職員と学生の参加、校友と父母の協力のもとに、社会的連帯を強め、学園の発展に努める」とうたっています。
 自民党政治によって「大学の構造改革」がすすめられ、し烈な大学間競争が展開されるなかで、立命館大学が教学を優先し、学生と教職員が生き生きと発言し、学園運営に誇りを持って参加することができる、自治と民主主義の今日的あり方をどう守り発展させるかが、改めて注目されています。